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年間200件以上開業をサポートする『ミュープランニング』に聞く、飲食店出店の成功の秘訣

「飲食店をやりたい」と思ったときに、考えることは山積みです。顧客ターゲットや利用動機、店の売りとなる商品等、多面的な要素を踏まえながら全体のコンセプトを練り上げ、その上で、出店立地の設定、さらに店内環境やメニューブックなどをデザインで表現していきます。多くの飲食店経営者は、食のプロであっても、経営を専門的に学んでいる人は少ないので、いろんな局面で迷ってしまうことも多いはず。そんなときは、豊富な実績やノウハウを持っている人に聞くのが成功への近道になるかもしれません。

今回は、国内外で年間200件以上の飲食店のプロデュースを行う『株式会社ミュープランニング』の取締役、高津憲弘さんにインタビューし、新規出店を成功させるヒントを聞いてきました。

開業時には、基本構想にしっかり時間をかける

『ミュープランニング』は、業態企画、フード・ドリンク開発、グラフィックデザイン、内装デザイン、ディスプレイ計画、社員研修など飲食店ビジネスをトータルでサポートしています。いわば飲食店開業における縁の下の力持ちです。高津さんは、新規の業態を立ち上げる相談があるときに、「その企業の強みはなんなのか」「なぜその業態をやりたいのか」という部分をしっかりと掘り下げ、また異業種からの新規参入の場合には「本業とのシナジー」「その企業が飲食事業に取り組む目的・意義」の整理から行っていくと言います。

「弊社は様々なサービスを提供していますが、その中でも重要なサポートの一つが社名にもあるように『プランニング』の部分です。なぜ新業態開発や新事業立ち上げを検討しているのか、という目的を整理するところからスタートしていきます。弊社は開業まではサポートいたしますが、施主はその後もずっとお店を経営していかなければなりません。そのためには施主の強い想いを理解することから関わっていくことが非常に重要と考えます。施主と想いを一つにした上で、市場での可能性を探り具体的な施策を整理します。それを踏まえたコンセプトをベースに、メニュー、デザイン、サービスに落とし込むことが良い店を創る条件であり、想いを消費者に伝える可能性を高めると考えています。このような考えを基に、お店を開く、もっと良くする、広げていくなどの個々のニーズに答えていきます」

施主の想いを理解することが大切だと語る高津さん。大手企業の新事業のサポートということになると基本構想だけでも半年はかかるそうです。時間をかけることの大切さについて教えていただきました。

「お互いのことをよく知らない段階で『まずはデザインコンペに参加頂きたいのですが?』とご相談いただくことがありますが、弊社は基本的にコンペには参加しません。相手の想いや考えを理解し意見交換しながら創り上げていくのが弊社のスタンスだからです。また、弊社は既存のお客様をとても大切にしているのですが、お互いの感覚やイメージのすり合わせができているため、長いお付き合いであればあるほど施主の想いを踏まえたアウトプットが可能になり、より良いお店作りに貢献できると考えております。まだお互いのすり合わせができていない新規のお客様の場合は、最初の1店舗を作り上げる上で最低限必要な時間をかけて構想を練り上げていきます。ただ依頼されたことをこなす『業者』ではなく、お客様と一緒に新規事業を考えるパートナーとして、プライドを持ってやっています」

『ミュープランニング』には、基本構想、基本計画、メニュー開発、研修等のサポートをする企画運営部隊や、設計、グラフィック、ディスプレイなどのクリエイティブ部隊などさまざまな職種のスタッフが在籍。そしてその誰もが飲食店での研修を経ています。どの部門であっても、「食の世界を体感したうえでビジネスをする」というのは、「クライアントと二人三脚で歩みたい」という強い想いを反映しているように感じます。

飲食店にとってデザインはどのくらい大切なのか

基本構想をしっかり練った後は、クリエイティブな部分の作りこみに入っていきます。『ミュープランニング』がプロデュースした店舗の多くは、洗練された店舗デザインが魅力になっています。飲食店にとってデザイン力とはどのくらい重要なものなのでしょうか?

「弊社にとっての“デザイン”とは、基本構想、事業計画、オペレーション等を踏まえた上での表現手段です。施主の想いを消費者に伝えるためにデザインはとても重要な役割を果たします」

『ミュープランニング』にとって“デザイン”とは、個々のお店の魅力や想いを伝える為の重要な手段。内装デザイン、グラフィックデザインというと見栄えの良さばかりに目が行きがちですが、そこにはしっかりと施主の想いが宿っているというわけです。

人気のピザ店の国内1号店をプロデュース

同社が手掛けた新業態に、2016年4月に新宿駅南口の商業施設『NEWoMan(ニュウマン)』内にオープンした『800 ディグリーズ ナポリタン ピッツェリア』があります。5種類のベースピッツァと、約40種類もの具材から好きな物を選んでカスタマイズできるのが特徴です。ロサンゼルスで人気を集めているこの店を、『ミュープランニング』が日本に初上陸させました。

「弊社は業態の輸入はメイン業務ではありません。通常は施主の要望に応じて業態を新しく開発していくのですが、このプロジェクトの場合は施主からいただいた『海外から業態を輸入し、直営で飲食店を始めたい』というご要望に対して、今後日本でも人気が出そうな海外の業態を複数提案し、最終的に選ばれた『800ディグリーズ』の契約交渉からサポートさせて頂きました」

『ミュープランニング』は、独自のネットワークで海外の魅力あるブランドをリストアップしています。その中で『800ディグリーズ』は、今後日本の市場において可能性を感じるブランドのひとつでした。ただ、このお店をそのままの形で日本に上陸させたわけではなかったようです。

「普通に『800ディグリーズ』を日本に持ってくると、“ファーストフード”と消費者は感じてしまう可能性がありました。客単価を1900円くらいに設定したかったので、ファーストフードのイメージで上陸させると厳しい状況になることを予想。そこで、日本では『プレミアムファーストフード』と銘打ったカジュアルレストランスタイルのイメージを目指し、店舗の内装やグラフィックで表現を調整していきました。本店のあるアメリカでは、ドリンクはベンディングマシンで提供しているのですが、日本ではあえてバーを設定。ロサンゼルスを連想させるレモネードなどのドリンクやクラフトビールなどの商品開発もアメリカ側に新規提案し、メニューに加えました。本部構築を伴う新規事業支援だったため弊社から数名出向し、店舗運営のフォローもさせて頂いております」

海外の飲食店の出店の交渉から、開業後のアルバイトや新入社員の研修まで行えるのは『ミュープランニング』ならではの強みかもしれません。

トレンドを把握するため、1日10食以上食べ歩くことも

『800ディグリーズ』のように海外で人気が出始めた店をいち早く日本に呼び込むためには、世界のトレンドにいつも目を配っていなければなりません。海外の業態はどのようにしてウォッチしているのでしょうか

「アジアに関しては2002年から、香港・シンガポールを中心にフォローをしてきました。最近はアメリカへの進出のご要望も多いため、サンフランシスコに社員を出向させて現地で活動してもらっています。また、各国で卒業生がいますので、パートナーとして情報交換もしています」

最先端のトレンドを自分の目で見て、感じるために、高津憲弘さんらも現地に赴くことも多いようです。

「我々自身も国内外の現地に赴いて1日10食以上食べて飲む生活を数日間に渡って続けることもあります。やはり体験しないとわかりません。日々体験したことをストックし、クライアントのご相談に応じてその体験を活かしながらフォローさせて頂いています」

流行は乗るものではなく作るもの

国内外の情報を集めた上で、実際に現地へ赴き、「体験する」というプロセスは、『ミュープランニング』が非常に力を入れている部分です。だからこそ、市場の求めるものを敏感に感じ取り、時代の一歩先を行くことができているのでしょう。

「我々はトレンドを作ることはあっても、流行に乗るという考えはありません。流行っているものに便乗しようとすると、そのブームが終わった後にどうするのかという問題が残ります。インスタ映えするメニューを作ったけど、一度写真を撮った人はもう来ない、数カ月後には閑古鳥が鳴いているというのもよく聞く話です。自らトレンドを作り出すためには、日々変わっていく街を観察することが欠かせません。街によって流行っているものや需要は異なるので、消費者が体験していることを我々も体感するしかないんです。ですから、弊社のスタッフはどんなに忙しくても夕方以降は飲食店を回っていますし、営業メンバーは電車に乗らずに歩いて、街を観察するようにしてします。地道ですが、体感がすべてなのです。その中で感覚を研ぎ澄ましていくと、移り変わる街の状況を肌で感じるようになります。また、それぞれが体験した内容を社内で共有し意見交換を積極的に行っています。日々体験することが、我々にとって重要なポイントの一つであり、定性的なデータと定量的なデータを整理して業態開発することが弊社の役割だと考えています」

お話の最後に、高津さんは「結局、我々は『飲食バカ』なのです」と笑いながら話してくれました。スタッフみんな食べること、飲むことが大好きで、毎日外食し、活発に意見交換しあう文化ができています。だからこそ、時代の変化の波に負けない店づくりができているのでしょう。情報が洪水のようにあふれ、猛スピードで変化する現代社会だからこそ、街を歩いてリアルな体験をしたり、自分の感覚を磨いたりする時間を大切にしたいものです。そうすれば、自分の理想とするお店の形が見えてくるかもしれません。

[提供]株式会社ミュープランニング
住所/東京都渋谷区神宮前3-1-14 LE REVE 3F
電話番号/03-6434-7430
事業内容/商業店舗の企画・設計、飲食店の運営、経営コンサルタント、飲食店従業員の教育・指導など
http://www.myuplanning.co.jp/index.html
https://www.tenpodesign.com/company/detail/331