- 新旧の共生 -

コンパクトな三角形の建物で、美容室の依頼を受けた。
最上階の窓にかこまれた空間はとても明るく、一方で風変わりな物件の形は挑戦でもあった。

熟思の末、シャンプー台をななめにレイアウトすることで、いびつで限られた床面積を有効に使う方法をとった。
通常の美容室ではとらない配置であるが、この場所の個性をいかした計画である。

施主の希望で、壁は一部コンクリート現しとした。
築25年以上の古いRC造の躯体はそれなりの荒々しい質感を持っているが、新たに立てた白い壁面と、天井のフレキシボードが加わることでお互いをバランスよく引き立て合っている。

店の中心にはアイアンの間仕切り壁を配し、ビンテージ塗装を施した。
あたたかみのある洗練された色味で、空間を圧迫することなく緩やかにつなげている。
入口にはモールテックスのカウンターを設け、職人の手仕事の繊細な質感をのこした。

古さと新しさが共存し混ざり合いながら、スタッフさんが切磋琢磨していけるお店になればと思う。