このプロジェクトは、
奥様の趣味と今後の仕事への足掛かりとして、ご主人様のガレージをお菓子の工房へと改装するプロジェクトでした。

建物本体はRC打放で造られ、改装前ガレージだったこともあり、内装はその躯体のまま表されていました。
今回、プロジェクトのお話を頂いた時、お菓子作りと言うソフトなイメージでしたが、あえてRC打放しの表現を残すことで甘いイメージだけでなくシャープなイメージを付加するご提案をしました。そして、扉に溝型ガラスを使う事により、外部からは見えるようで見えない曖昧性と夕刻に漏れる内部からの光による存在感のアピール、 内部からは外部の光を通し季節や日々の移変わりと、通りを行交う人の気配が、 曖昧な透過性のガラスによって心地良い感覚を与える要素にもなっています。

予算や施工など具体的な建築作業については、内装・厨房機器・ガラスなどに分離発注を掛ける事でコストを抑える方法を取りました。施工に関しては、改装前が、ガレージだった事もあり給排水が全く無い為、新たに経路を確保することの難しさもありました。

このプロジェクトは小規模ではありますが、内装工事の持つ難しさやコストコントロールなど、規模の大小関わり無く生じる問題は同じです。
そして、生じる問題に関して最大の解決策となる手掛りは、クライアントとの綿密な話合いと施工者との関わりの中から答えは自ずと導き出されるものです。

そんな思いを再認識させて頂いたプロジェクトです。