一級建築士事務所こより
京都府京都市中京区末丸町541-36-501
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KAGUWA
カグワ
この事例のコンセプト
KAGUWAは、香りを設計する建築として構想された。
茶葉が発酵という時間の作用を受け、静かな内部変化から豊かな香りを放つように、空間もまた、光と素材の呼吸の中で静かに立ち上がる。
目に見える形ではなく、感覚の層を編み上げることで体験を成立させること——それがこの場所の起点である。
場所は東京・神楽坂。高密度な街並みに内包されたこの小さな空間に求めたのは、喧騒との対比ではなく、街の奥に潜む凛とした静けさに呼応し、空間は「余白」を軸に据えた。象徴的な造形や情報の圧力を避け、素材と光が低い声で語りかけるような環境を目指した。
新築の商業施設という均質なフレームに対し、内部では素材と手仕事が微細な揺らぎを生む。
壁・天井に使用した白土を含んだ砂漆喰は、左官職人の軌跡がそのまま光の陰影となり、光が当たれば柔らかく、影が落ちれば深く沈み、時間の経過とともに奥行きを深める。
床には小さな釉薬タイルを敷き詰め、歩くたびにわずかな光沢の揺らぎが歩みとともに変化し、静かなリズムを刻む。
サワグルミなど無垢材の造作家具は、節や年輪を捉え、触れた瞬間の温度と経年変化の中にある素材の生命力を空間に定着させた。
素材は装飾ではなく、時間とともに香りのように輪郭を変える存在として扱われている。
光の設計もまた、感覚の繊細さに寄り添った。
この場所は自然光が届きにくい配置であるが、光を「当てる」のではなく「受けとめる」計画とした。
間接照明を主体に、壁や天井に柔らかく反射させることで、時間帯を問わず心が落ち着く明度を保つ。
光源自体を主張させず、素材に滲む光を見せる。
静かな空気の中で、光が漂い、沈み、また立ち上がる。
光は香りのように空間に広がり、空気とともに滞留する。
ここでは、五感が過剰に刺激されるのではなく、そっとほどけていく。
ほんのり漂う茶葉の香り、足元に響く木の音、器の質感。
それらが呼応し、心の速度を緩めていく。
味わう前に、空間が先に「香り」をまとって届くような、穏やかな時間が流れる。
KAGUWAは、香りを建築に置き換えることを試みた。
そしてその試みは、結果として“静けさ”という形を得ている。
感覚を立ち上げようとした意図が、輪郭を消し、余白を際立たせた。
香りという捉えがたい現象を、素材と光と時間の秩序によって編み上げたとき、空間は過度に語ることをやめ、静けさそのものとして在る。
神楽坂の気配を受けとめながら、日本の美意識を現代の感性で捉え直す場。
一杯の和紅茶とともに、香りと時間の余白が静かに交わるひとときをお過ごしください。
茶葉が発酵という時間の作用を受け、静かな内部変化から豊かな香りを放つように、空間もまた、光と素材の呼吸の中で静かに立ち上がる。
目に見える形ではなく、感覚の層を編み上げることで体験を成立させること——それがこの場所の起点である。
場所は東京・神楽坂。高密度な街並みに内包されたこの小さな空間に求めたのは、喧騒との対比ではなく、街の奥に潜む凛とした静けさに呼応し、空間は「余白」を軸に据えた。象徴的な造形や情報の圧力を避け、素材と光が低い声で語りかけるような環境を目指した。
新築の商業施設という均質なフレームに対し、内部では素材と手仕事が微細な揺らぎを生む。
壁・天井に使用した白土を含んだ砂漆喰は、左官職人の軌跡がそのまま光の陰影となり、光が当たれば柔らかく、影が落ちれば深く沈み、時間の経過とともに奥行きを深める。
床には小さな釉薬タイルを敷き詰め、歩くたびにわずかな光沢の揺らぎが歩みとともに変化し、静かなリズムを刻む。
サワグルミなど無垢材の造作家具は、節や年輪を捉え、触れた瞬間の温度と経年変化の中にある素材の生命力を空間に定着させた。
素材は装飾ではなく、時間とともに香りのように輪郭を変える存在として扱われている。
光の設計もまた、感覚の繊細さに寄り添った。
この場所は自然光が届きにくい配置であるが、光を「当てる」のではなく「受けとめる」計画とした。
間接照明を主体に、壁や天井に柔らかく反射させることで、時間帯を問わず心が落ち着く明度を保つ。
光源自体を主張させず、素材に滲む光を見せる。
静かな空気の中で、光が漂い、沈み、また立ち上がる。
光は香りのように空間に広がり、空気とともに滞留する。
ここでは、五感が過剰に刺激されるのではなく、そっとほどけていく。
ほんのり漂う茶葉の香り、足元に響く木の音、器の質感。
それらが呼応し、心の速度を緩めていく。
味わう前に、空間が先に「香り」をまとって届くような、穏やかな時間が流れる。
KAGUWAは、香りを建築に置き換えることを試みた。
そしてその試みは、結果として“静けさ”という形を得ている。
感覚を立ち上げようとした意図が、輪郭を消し、余白を際立たせた。
香りという捉えがたい現象を、素材と光と時間の秩序によって編み上げたとき、空間は過度に語ることをやめ、静けさそのものとして在る。
神楽坂の気配を受けとめながら、日本の美意識を現代の感性で捉え直す場。
一杯の和紅茶とともに、香りと時間の余白が静かに交わるひとときをお過ごしください。
この事例を手掛けた会社の概要
| 社名 | |||
|---|---|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市中京区末丸町541-36-501 | ||
| 外部リンク | |||
| 代表者 | 中村 菜穂子 | 担当者 | 中村 昌彦 |
| 業種・業態 | 店舗デザイン・建築設計・リフォーム・リノベーション | ||
| 坪単価 | |||
| 建築設計 | 可能 | スタッフ数 | 2人 |
| 資格・許認可 | 中村 昌彦 一級建築士 (第335943号) | ||
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