鉄板焼き「Messi」のプロジェクト。
全国17社の一つに数えられる勅祭社のひとつ香椎宮の参道沿いに位置し、欅並木が立ち並び緑の光が美しい場所であった。

施主が希望されたカウンターを中心とした店舗に対し、7.2Mの大きな食空間を提案している。

施主の生まれ故郷である福岡・田主丸は東西に約30kmにわたって起伏の多い耳納連山が連なっている。
この山々が約3～4億年前の変成岩で形成されており、ある程度大きな塊を確保しやすい点から耳納石を使うこととした。

天板には厚さ33㎜のチェリーの無垢材を採用し、薄く広い天板と石の重厚感が対比するように造形を検討している。
天板を支える骨格として、ひとつは故郷の石を用い、もうひとつはプログラム（鉄板焼き）上重要な骨格である鉄板も用いることとした。
自然石と厨房設備で食空間としての天板を支えることを考えている。
天板は構造計算を行い、最大4.5Mのスパンを飛ばし7.2Mの天板を支えている。

特別な食空間の為のカウンターテーブルにはオリジナルの照明をデザインしている。
FRPの両サイドからダウンライトを照射し、内部の乱反射によって長さ4Mの円筒状の発行体が浮遊していることを思案した。
これらは調光により明るさの変化を生み、空気感を演出する。
インフラ（給水 電気 照明 換気 排気ダクト)は全てケーブルラックに集約し天井と設備が同居した意匠とした。

限りなく少ない手数で文脈を踏襲し、空気感を作ることを思案している。