●プロジェクトの概要●
施術行為をテーマに空間を考えると、つい「白の空間」を思い描いてしまいます。しかし歯の白と黄ばみが2色ではなくグラデーションのようにその度合いが異なることを考え、空間表現として単なる「白」ではなく「白い」デザインしたいと考えました。​

「白」であることと「白い」ことは実際には異なります。例えばお化粧でファウンデーションを肌に塗り、白くなったとは言っても、「真っ白」であることを意図していません。絶対色ではなく、相対色がこのプロジェクトでの重要な着目点だと言えます。
​
​エントランス空間には白木の集成材を用いるようにし、自然素材のもつ白さをアクセントになるように計画しました。カウンターの左官仕上げや壁クロスの色は黄色系の白い色を起用しました。どちらも若干異なる色の系統なのですが、「まっ白」のストリングカーテンが映えるデザインとなりました。この「いくつもの白」は、「お客様の日常生活の中に美しく自然な白い歯」を象徴したデザインとなります。

​
●プロジェクトの経緯●
店舗デザイン.com経由による成約案件です。新規事業としてご出店される内装設計のご依頼でした。将来複数店舗経営を目標とされているため、私達は今後の出店計画に牽引するフラグシップショップとしてデザインを練りました。全店舗通じたデザインコードとなる色や質感を考え、コストや今後の調達性を念頭に計画したインテリアデザインが課題となります。そして、いろいろなセルフホワイトニングサロンが世の中に展開されてきている中、空間的に差別化し「どうせ美しくなるならここ！」と思える内装のデザインを検討しました。


●プロジェクトを終えて●
店舗設計で重要となるものの一つに「メンテナンス性」があります。細やかな作り込みにより、釘やビスの頭などが見えない工事を指示することで美しく仕上げることができます。しかし場所によっては将来の故障や不調時に備えて簡易的に解体できるようにしておくことも重要となります。この計画では各施術スペースに手洗いシンクを設けているため給水排水菅を延伸しています。そういうった配管は予期せぬ不調をきたすことがあります。遠い将来のリスクも考えられるところは対策を講じることにしています。

こうして仕上がった空間はコンセプトが反映されているだけでなく、必要な機能や性能をしっかりと確保するに至ります。弊社の事業継続性を大事にするデザインの姿勢が現れたプロジェクトだと思います。