神戸・南京町という強い観光文脈の中で、
「射的」という日本的な遊戯を“体験型コンテンツ”として再定義した空間。
本計画では、単なる縁日風・レトロ再現に寄せるのではなく、中華街の熱量・雑多感・非日常性を最大限に増幅させるデザインを目指しました。

空間の象徴となるのは、中央に据えた円形カウンターと段状の立体構成。
どの位置からでも視線が中心に集まり、自然と人の動きと熱気が循環する設計としています。
射的台を「並べる」のではなく、「舞台として魅せる」ことで、
遊んでいる人も、外から眺める人も巻き込む“見世物性”を強く意識しました。

色彩計画は、南京町の街並みに埋もれない高彩度の赤を基調に、
金色のグラフィック、提灯照明、漫画調グラフィック天井を組み合わせ、
一歩足を踏み入れた瞬間に世界観が切り替わる没入感を演出。
昼夜問わず写真・動画映えすることを前提に、照度・光のリズムも細かく調整しています。

また、大開口のファサード設計により、
通行量の多い南京町の動線に対して“中が丸見え”の構成とし、
「なんだここ？」と立ち止まらせる引力を重視。
遊戯の音・人の声・色彩がそのまま街に滲み出ることで、
自然な集客装置として機能する空間となっています。

観光地立地に求められる
「分かりやすさ」「一瞬のインパクト」「SNS拡散性」と、
運営面での耐久性・回転率・視認性を両立させた、
南京町という場所性に強くフィットした射的遊戯場に仕上がりました。