快適な飲食店の空調設備の設定とは?【乾燥しすぎでもウイルスは活性化する!】
2025年1月27日

快適な室温を保つために欠かせないエアコン。しかし、エアコンは暖房器具の中でも特に室内の空気を乾燥させやすいことで知られています。細菌は高温多湿の環境を好むため、飲食店では衛生面から考えても湿度が上がり過ぎないようにすることが大切ですが、それでも乾燥のしすぎはさまざまなトラブルを引き起こすでしょう。
そこで、今回は「飲食店における快適な空調設備の設定」をテーマとして取り上げます。厚生労働省の提示している基準から、湿度とウイルス活性化の関係、店内の湿度を適切に保つ方法まで解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
厚生労働省が推奨する湿度・温度とは?
飲食店に最適な空調設備の設定を考える上で、重要な指針となるのが厚生労働省の提示している「大量調理施設衛生管理マニュアル」です。このマニュアルでは、集団食中毒の発生を防ぐため、原材料の管理方法や施設の衛生環境について具体的に示しています。
「大量調理施設衛生管理マニュアル」の「施設設備の管理」という項目の中に「施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること。調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい」という文章が登場します。
1日に多くのお客様にたくさんの食事を提供する飲食店では、食中毒の発生を防ぐ対策が最も大切。まずはこの数値を念頭に置く必要があるでしょう。
乾燥しすぎも危険!湿度とウイルス活性化の関係は?
集団食中毒の発生を防ぐためには「大量調理施設衛生管理マニュアル」にあるように「高温多湿を避けること」が重要ですが、実は「乾燥しすぎ」も危険。湿度と温度が共に低い状況ではウイルスが蔓延するという研究結果もあるのです。
医学的には湿度が40%を切るとウイルスが空気中を活発に飛び回ると考えられているので、風邪やインフルエンザの流行する冬は特に注意しましょう。他にも、乾燥のしすぎは次のような問題を引き起こします。
- 顔の肌トラブル
- 手荒れ
- 喉のイガイガとした不快感
- 静電気の発生
肌トラブルや静電気問題を引き起こさないためにも、飲食店内の湿度は大体50~60%を目安に設定することをおすすめします。
空調設備の仕組みに注目!飲食店内の湿度を適切に保つ方法

一般的に「湿度」というとき、それは「相対湿度」のことです。相対湿度は計算上、空気を温めると下がり、空気を冷やすと上がります。そのため、エアコンで冷えた空気を温めると必然的に相対湿度が下がってしまうのです。この性質を踏まえ、飲食店内の湿度を適切に保つために次のような工夫をすると良いでしょう。
- 加湿機能付きエアコンを導入する
- 加湿器を別途設置する
- 観葉植物を飾る
- お客様の目に入らない場所に濡れタオルを下げる
加湿機能付きのエアコンは、家庭用では普及が進んでいるものの、業務用ではまだまだ一般的とは言えません。
そのため、最も現実的で効果が高いのは「加湿器の併用」だと言えるでしょう。加湿器なら大型のものからテーブルの上で気軽に使える小さなものまで、種類もサイズも豊富です。店舗にあったものを選び、エアコンと一緒に活用してみましょう。
その他、葉っぱから水蒸気を放出する植物の性質を利用するアイディアや、濡れタオルで湿度を上げる方法なども簡単に導入できるのでおすすめです。
飲食店の業態によっても異なる「ちょうどいい」空調設備の設定
「ちょうどいい」空調設備の設定は飲食店の業態によっても異なります。焼肉やお好み焼きなどお客様の席で熱を発する調理器具を使用するお店と、アイスクリームや冷たいドリンクをメインで提供するお店とでは「心地よい」と感じる温度が違うからです。エアコンの設定温度を高めに設定した方が良いお店と低めに設定した方が良いお店を次のようにまとめました。
設定温度を低めにすることをおすすめするお店
- ラーメン屋
- お好み焼き屋
- 焼肉屋
- すき焼き・鍋屋
- 居酒屋
- その他男性客メインのお店
設定温度を高めにすることをおすすめするお店
- アイスクリームショップ
- カフェ
- その他女性客メインのお店
この他、飲食店のある建物の構造などによっても設定温度を工夫しなくてはならないケースもあります。例えば、最近人気の古民家を活用したレストラン・カフェなどは外気を取り込みやすい設計になっているため、通常よりも設定温度を高くしなければなりません。
空調設備の設定に関する工夫や自分の店に合ったエアコンの選定などを考える際は、プロの意見を取り入れることも効果的。お困りの際は、ぜひ専門知識が豊富な業者に相談してみてください。
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