飲食店における給排水・衛生設備とは?【店舗開業に必要な水にまつわる設備】
2025-04-03

飲食店を開業するにあたって欠かせないのが給排水・衛生設備。しかし、給排水・衛生設備の種類分けや設置義務の有無などは複雑なため、「どこから確認したらいいのかよくわからない」という方も少なくないのではないでしょうか?
そこで、今回は「店舗開業に必要な水にまつわる設備」をテーマとして取り上げます。給排水・衛生設備の種類分けや、法的な設置義務について、また設置にはどれくらいの費用がかかるのかまで解説します。参考にしていただければ幸いです。
飲食店における給排水・衛生設備の種類
飲食店における給排水・衛生設備は一般的に以下の4種類に分けられます。
給水設備
「給水設備」は、建物に引き込まれた常温の水を店舗に適切な量と圧力で供給するための設備です。給水タンクや給水ポンプ、給水管などがこの給水設備に該当します。給水方式にはさまざまな種類があり、建物ごとに異なるため事前にチェックしておきましょう。
給湯設備
「給湯設備」は、温めた水(お湯)を店舗に適切な量と圧力で供給するための設備です。お湯の沸かし方や供給の仕方には中央給湯方式や局所給湯方式など、複数の種類があります。
排水処理設備
「排水処理設備」は、使用した水やお湯を適切に浄化して排水するための設備です。排水ポンプや排水管などがこの排水処理設備に該当します。
衛生設備
「衛生設備」は、便器や手洗い器、シンクなど水回りやそれに準ずる場所の設備を指します。
給排水・衛生設備の基準や義務
給排水・衛生設備の設置基準や義務付けは地域によって違いがあります。例えば、東京都保健医療局では、「営業施設の共通基準」の「3 給水及び汚物処理」で、以下の項目について具体的な基準を定めています。
- 給水設備
- 便所
- 汚物処理設備
- 清掃器具の格納設備
また、業種ごとに定められる「特定基準」の「飲食店営業」では、次の項目についても追加で設置基準を設けています。
- 洗浄設備
- 給湯設備
- 客用便所
基準では、構造や形状についてかなり細かく言及されています。飲食店開業を考えている際は、可能な限りはやく管轄の保健所に問い合わせ、基準を確認しておきましょう。
グリストラップ(グリスト)の設置義務は?

飲食店を開業するのであれば、排水に混じっている食べ物の残りかすや油分を分離するグリストラップ(油脂分離阻集器)の設置についても考えましょう。
法的に「グリストラップを設置すること」の義務は明言されてはいませんが、建築基準法や水質汚濁防止法、下水道法などで決められた排水などの基準をクリアするためには事実上グリストラップの設置が必要不可欠です。また、自治体によっては条例でグリストラップの設置を明確に義務化しているところもあります。
飲食店における給排水・衛生設備の工事費用
最後に、飲食店で給排水・衛生設備を整備する際の工事費用相場についても見ていきましょう。給排水・衛生設備設置のためにかかる費用は、坪単価だと大体5万円前後だと考えられています。費用の内訳は以下の通りです。
- 給水設備(屋内)
- 給水設備(屋外)
- 水道管
- 給湯設備
- 排水処理設備
- 衛生設備
- その他
スケルトン物件の場合、水道管の引き込みなどすべてはじめから行う必要があるため費用がかかります。もし、これらの費用をなるべく安く済ませたいと考えるなら、居抜き物件も視野に入れると良いでしょう。
居抜き物件は、スケルトン物件に比べ内装の自由度は劣るものの、以前営業していた飲食店の給排水・衛生設備をそのまま引き継いで使うことが可能です。もちろん一部追加工事は必要になりますが、スケルトン物件に比べると各段に出費を抑えられます。
給排水・衛生設備の工事に関しては専門知識を必要とするものが多いので、不安なことがあればなるべく早く専門業者に相談してみましょう。
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