【本屋・書店の開業ガイド】個人店で成功するための戦略・手続き・資金を徹底解説
2025-11-12
画像素材:PIXTA電子書籍やインターネット書店の普及により、紙の本を扱う書店の数は減少傾向にあります。そのため、「本屋の開業を目標にしていたけれど、もう諦めた方がいいかもしれない」と肩を落としているオーナーの方もいるのではないでしょうか。
しかし、オーナーが独自にセレクトしたこだわりの本を取り扱う「独立系」と呼ばれる個人書店や、カフェ併設型など特別な体験のできる小さな本屋は再注目されつつあります。大手やインターネット書店と同じ土俵で戦うのではなく、独自の価値を提供できる個人書店にとって、現在はチャンスの時代と言えるかもしれません。
そこで今回は「本屋・書店の開業」をテーマとして取り上げます。個人店で成功するための戦略から行政手続き、必要な資金まで解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
【本屋・書店の開業】個人店で成功するためのポイントは?
個人書店の開業を成功させるためのポイントは、次の6つです。
- ターゲットを明確にする
- 長時間滞在したくなる仕掛けを作る
- 近隣のお店に営業をかける
- SNSでの情報発信を積極的に行う
- 店の一部をシェア型書店にする
- 異業種とのコラボ企画にチャレンジする
ターゲットを明確にする
1つ目は、ターゲットを明確にすることです。「なるべくさまざまな人に来てほしい」と考えターゲットを定めないやり方もありますが、個人書店でその方法を試みると個性がなく品揃えも不十分なお店になりかねません。
保育園や小学校が近いなら子育て中の保護者向けの絵本・育児書専門店、オフィス街が近いなら啓発本や技術書を多数扱うビジネスマン向けの書店……など、周辺環境をよく調査し、それに基づいてターゲットを定めましょう。
長時間滞在したくなる仕掛けを作る
2つ目は、店舗に長時間滞在したくなる仕掛けを作ることです。たとえば、カフェを併設し、美味しいコーヒーとケーキを楽しみながら買った本をゆっくり読めるブックカフェなどはどうでしょう?カフェとしての売上がプラスされるため、利益率向上が期待できます。
また、「そこでしかできない体験」が楽しめる書店も人気があります。手芸関連の本を販売しながら「刺繍体験」のワークショップを開催したり、販売している絵本を使った「読み聞かせの会」を定期的に実施したり……お客様に「あの書店に行くと、何かワクワクすることがある」と思ってもらえる工夫ができると良いですね。
近隣のお店に営業をかける
3つ目は、近隣のお店に営業をかけることです。近くにヘアサロンや喫茶店、飲食店があるようならぜひ挨拶に行ってみましょう。お店に置く雑誌を定期購入してもらえるようになれば売上アップが見込めます。配達やおすすめ雑誌のセレクトなど、個人商店ならではのサービスをつけることが大切です。
SNSでの情報発信を積極的に行う
4つ目は、SNSで積極的に情報発信を行うことです。現在は情報社会。お金をかけず宣伝のできるSNSは個人書店の大きな味方です。オススメの本について熱く語ったり、親しみがわくオーナーの日常を綴ったり、どんどんお店の魅力を発信しましょう。思わず写真を撮りたくなる「フォトコーナー」を店舗に設置すれば、お客様による情報拡散も期待できます。
店の一部をシェア型書店にする
5つ目は、お店の一部を 「 シェア型書店 」 にすることです。 シェア型書店とは、「棚1段」や「ここからここまでの1区画」などの単位でオーナー(=棚主)を募集する書店のことです。賃料をもらってスペースを貸し出し、そこに棚主が自由に好きな本を並べて販売する仕組みのことです。
スペースの賃料を受け取ることができるため収入が安定しやすく、棚主の意向が反映された場所が生まれるため、お店の雰囲気に「遊び」や幅が出ます。
異業種とのコラボ企画にチャレンジする
6つ目は、異業種とのコラボ企画にチャレンジすることです。たとえば、店舗の一部にイベントコーナーや展示コーナーを作り、定期的に異業種の展示販売を行ってみてはいかがでしょう?アパレルショップやインディーズ・バンド、クリエイターとのコラボを行えば、普段書店に足を運ぶことの少ないお客様の来店も期待できます。
本屋・書店を開業する際に必要な資格や届け出は?
画像素材:PIXTA次に、書店開業に必要な行政手続きを確認しましょう。本屋の開業に、特別な資格や届け出は不要です。個人事業主として欠かせない「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」のみ、開業から1ヶ月以内に管轄の税務署に提出してください。
また、書店の入っている建物の規模によっては「防火管理者」の届け出が必要な場合もあります。防火管理者を設置すべきかどうか事前に必ずチェックし、必要があるときは管轄の消防署で手続きをとりましょう。
古書を扱う場合・喫茶店を併設する場合は注意!
もし、「新刊と一緒に古書も扱いたい」「喫茶店を併設し、ブックカフェとして営業したい」などの希望がある場合は注意が必要。それぞれ、以下の許可を取得しなければなりません。
- 古書を取り扱う:古物商許可
- カフェを併設する:飲食店営業許可
古物商許可は、決まった書類と手数料を用意し、管轄の警察署に申請します。
カフェを併設するためには、管轄の保健所に申請し、「飲食店営業許可」を取得しなければなりません。飲食店の営業許可を受けるためには、規定通りの設備を揃える以外に、店舗に1人、「食品衛生責任者」を配置する必要があります。オーナーや店員が栄養士や調理師などの免許を持っていれば問題ありませんが、免許を取得している人がいない場合は早めに講習会を受けましょう。食品衛生責任者になるための講習は、e-ラーニングでも受講可能です。
本屋・書店を開業する際に必要な資金は?
小規模な個人書店を開業するために必要な資金は、本の仕入れ代を除き最低でも300万円から500万円は必要だと言われています。開業にかかる費用の目安は次の通りです。
- 物件取得費:テナント料の6ヶ月~12ヶ月分
- 内装・外装工事費:10〜50万円/坪
- 什器や設備費:30万円~100万円
- 宣伝費:10万円~50万円
最も費用がかかるのが物件取得費です。自宅の一部を活用できれば安く済みますが、ビルの一部を借りる場合などは最低6ヶ月、理想は12ヶ月分の運転資金を事前に準備しておく必要があります。また、内装・外装工事費を抑えたい時は、なるべく居抜き物件を狙うようにしましょう。
これらの費用以外に、「本の仕入れ代」と、店が軌道に乗るまでの運転資金3ヶ月~6ヶ月分程度も用意しておく必要があります。
本屋・書店開業に関してよくある質問
本屋・書店開業に関してよくある質問についてまとめました。
Q:小規模な本屋にオススメの仕入れ方はありますか?
A:「本の仕入れ」と聞くと、日販(日本出版販売)やトーハンなど大手取次店とのやり取りを思い浮かべる方が多いと思いますが、小規模書店の場合、契約のハードルが高く、初期在庫の大量仕入れが負担になることがあります。そこでおすすめなのは、1冊から少量で本を卸売りできる中小取次や流通サービスを活用する方法です。
Q:資金調達にはどんな方法がありますか?
A:最もオススメなのは低金利で融資の受けられる日本政策金融公庫の制度を活用することです。また、開業する土地によっては地方自治体から返済不要の補助金を受け取ることも可能。ぜひ、地元の自治体の情報をチェックしてみましょう。また、SNSなどで多くのフォロワーがいるオーナーが開業を考えている場合は、クラウドファンディングでの資金調達を視野に入れてもいいかもしれません。
「体験の場」として地域に根ざす魅力的な個人書店をオープンするためには、記事で紹介した戦略と共に、それを形にする「店舗デザイン」の視点も欠かせません。店舗デザインや内装で悩んだ場合は、ぜひ専門の業者に相談してみましょう。 あなたの理想とする書店の世界観を実現するための、具体的な提案がもらえるはずです。
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