ファサードと店内をシームレスに融合!通行人を引き込む視覚誘引の店舗デザイン術
2025-11-12
画像素材:PIXTA店舗ファサード(外観)は、お客様の来店率を左右する重要な要素の1つです。特に、最近では「店の外と中をシームレスに融合させ、通行人を自然に店内へ誘導するデザイン」に注目が集まっています。
そこで、今回は「ファサードと店内を融合させる店舗デザイン術」をテーマとして取り上げます。シームレスデザインが集客力を高める理由から、実践のための基本的なテクニック、注意点まで解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
シームレスデザインが集客力を高める理由
シームレスデザインとは、建築や店舗デザインにおいて、ファサード(外観)と店内の空間を視覚的に繋げ、境界を感じさせないアプローチを示します。このデザインが店舗の集客力向上に繋がるのは、主に次の3つの理由からだと考えられています。
- お客様の不安感を和らげることができる
- お客様の好奇心を刺激することができる
- 街と自然に調和し、心地よい雰囲気を作り出せる
お客様の不安感を和らげる
1つ目は、入店に対するお客様の不安感を減らせること。店舗の中と外がはっきり分かれていて中の様子が伺いにくいお店は、威圧感があります。「このお店、中はどうなっているのだろう?」「入っても大丈夫かな?」お客様にそう思わせてしまうと入店のハードルが上がり、なかなか入店してもらえません。内外の境目をなくすことで、ストレスフリーな移動を実現できます。
お客様の好奇心を刺激する
2つ目は、お客様の好奇心をほどよく刺激できること。お店の中と外が視覚的につながっていることで、店内がお客様にチラリと見えて「入ってみたくなる」気持ちをくすぐります。結果として、お店の前を通りかかった方がフラリと入店してくれる可能性が高まるでしょう。
街と自然に調和し、心地よい雰囲気を作る
3つ目は、街や周囲の環境に溶け込むことができること。店舗が街並みと調和すると、そこに活気と心地良い雰囲気が生まれます。お客様は「街の一部」として違和感なく店舗を捉え、自然と足を踏み入れやすくなるのです。
シームレスデザインを実現する基本テクニック
ファサードと店内をシームレスに融合させる店舗デザインには、「視覚的な連続性」が欠かせません。シームレスデザインを実現する主な手法は以下の3つです。
- 境界を視覚的に溶かす
- ディスプレイとサインでストーリーを繋げる
- 照明と色づかいで空間の統一感を作り出す
境界を視覚的に溶かす
1つ目は透明素材を積極的に活用し、「内外の境界を視覚的に溶かす」方法です。もっとも有名なのは、全面にガラスパネルを採用した「ガラスファサード」でしょう。ガラスファサードでは、店内の様子が外からしっかり見えるため、通行人を自然に引き寄せることが可能です。
[ガラスファサードのメリット・デメリットについての記事はこちら!]
ディスプレイとサインでストーリーを繋げる
2つ目は、ファサードのサイン(看板)やウィンドウ・ディスプレイを店内のテーマと連動させることで「ストーリーを繋げる」方法です。外観から店内へ続く物語を構築することで、通行人の目を惹きつけることができるでしょう。
たとえば、お店のコンセプトや季節のテーマなどを内外で共有すれば、統一感と深みが加わり、お客様の記憶に残る店舗に仕上がります。
照明と色づかいで空間の統一感を作り出す
3つ目は照明と色づかいで「空間の統一感を作り出す」方法です。たとえば、照明には白熱電球のようなオレンジ系から、昼光色という青みがかったものなど多彩な色があり、ファサードと店内でそれらが混ざってしまうと、空間が断絶されたように感じられてしまいます。
お店の雰囲気にあった照明の色味を選び、なるべく揃えて使うようにしましょう。建築に溶け込む埋め込み式照明を活用すれば、配線が見えなくなり、クリーンな視覚効果を発揮することもできます。
色づかいも同じです。ファサードと店内で使う色は同じトーンのものにし、色の数も3色以内に抑えるよう心がけましょう。
画像素材:PIXTAシームレスデザインを取り入れた店舗デザイン事例
続いて、シームレスデザインを取り入れた店舗デザインの事例を3つ紹介します。
床・壁・天井の境界を感じさせないデザイン
1つ目は、入り口から受付、待合室にかけての床・壁・天井をすべてホワイトで統一し、可能な限り境界を感じさせないよう工夫したデザインです。これは、クリニックで採用されているものですが、シームレスデザインにすることで空間に落ち着きと統一感が生まれ、患者様が気持ちよく過ごせるようになりました。
敷地全体を「公園」のように設計したデザイン
2つ目は、駐車場から売り場まで、敷地全体を「公園」のイメージで設計したデザインです。これはロードサイドにあるおしゃれな雑貨店での事例ですが、パーク感を出すことで自然と人が集まりやすくなり、オープン初日から多くの人が来店しています。
店内の床に公園でよく使われている床材を使用したり、ガラス張りの壁を多用したりするなど、店外と店内がシームレスに繋がるよう工夫されています。
高さを抑え、横の広がりを重視したデザイン
3つ目は、建物の高さを抑え、横へ広がるように設計されたデザインです。これは公園の一角にあるカフェの事例ですが、低めの建物にすることで公園によく馴染み、遊びに来た人が気軽に立ち寄ってくれるようになりました。お店の外と中、どちらも床材に煉瓦が使用されており「一体感がある」と人気です。
失敗を防ぐ!シームレスデザインの注意点
最後に、シームレスデザインにおける注意点を解説します。ファサードのデザインを考える上では、次の点に気をつけましょう。
- 流行を取り入れすぎない
- わかりやすさを大切にする
- ファサードを明るくしすぎない
流行を取り入れすぎない
1つ目は、流行を取り入れすぎないことです。流行は徐々に古くなっていくもの。オープン当初は最先端でも、時間が経つに連れ「野暮ったい」印象になりかねません。適度に流行を取り入れつつも、普遍性を意識しましょう。
わかりやすさを大切にする
2つ目はわかりやすさを大切にすることです。シームレスなデザインを意識しすぎるあまり、「入り口がどこだかわからない」「通路なのかそうでないのか判断がつかず不安」とお客様が悩むようになっては本末転倒。あくまで「お客様が迷わないこと(=わかりやすさ)」を保ったまま、内外の空間を視覚的に繋げるよう心がけましょう。
ファサードを明るくしすぎない
3つ目は、ファサードの照明を明るくしすぎないことです。ファサードが明るいと視認性が高く夜でもお客様にすぐ見つけてもらえますが、その代わり「なんだかお店の中が暗いな…」という印象を与えてしまう場合があります。バランスをよく見て明るさを調整しましょう。
シームレスデザインに関するよくある質問
シームレスデザインに関するよくある質問についてまとめました。
Q:内外の空間を自然と繋がるシームレスデザインは高価になりやすいと聞きました。あまり予算をかけられないのですが…。
A:「シームレスデザイン」と聞くと、多くの方がガラスファサードを思い浮かべます。確かに、ガラスファサードは費用がかさみがちです。しかし、ガラスファサードだけが店舗の中と外をシームレスに融合させるデザインではありません。工事を依頼する業者と相談し、安価な素材を積極的に活用しましょう。
Q:店舗ファサードの工事費用はどれくらいでしょうか?
A:費用相場は地域・規模・素材により変動しますが、一般的に中規模の簡易的な工事で100万円から、ガラスファサードの場合は300万円以上の予算が必要です。安価に済ませたい場合は既存の構造を利用するなどの工夫が欠かせません。
ファサードと店内をシームレスに融合させる店舗デザインを成功させるには、専門家の視点が欠かせません。事前に店舗デザイン会社と綿密な打ち合わせをし、より良いデザインを実現しましょう。
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