【虎の爪痕】

飲食店が連なる通りの計画地に対して、この店のアイデンティティーは何か。

『五黄の寅』なんとも挑戦的な店名である。
このクライアントの挑戦を、最大限に後押し出来る空間を考えた。

和の伝統意匠を保ちつつ、ガラス張りのファサードは全ての人々を受け入れる。
そのセンセーショナルなデザインで、その名の通り先頭に立ち地域を引っ張って行く。

壁一面に描かれた虎が、まるで生きているかのような、
この空間を造り上げたかのようなデザインを目指した。

虎の爪痕のようなカウンター。
虎の毛のような金和紙、アルミのバイブレーション。
虎が駆け抜け壊していったかのような、解体のままの壁。
虎斑の入ったナラ材。

壁画がこの空間を完成させ、空間が壁画に命を吹き込んでいる。