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東京都港区北青山1-3-3三橋ビル 3階
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TOYOOKA
トヨオカ
担当者
-
デザイン担当
日野達真

この事例のコンセプト
名古屋・那古野の歴史ある街並みにひっそりと佇む日本料理店「京道(きょうみち)とよおか」は、店主・豊岡京介さんが2023年に、29歳で独立して開いた初の自店です。
料理人を志したのは小学生の頃で、「30歳までに自分の店を持つ」と決意したのは中学生のときだったといいます。その言葉通り、豊岡さんは高校の調理科で調理師免許を取得後、「赤坂浅田」「名古屋浅田」にて加賀料理の基礎を学び、鰻の名店「桂喜」や、ミシュラン一つ星の「味感ことほぎ」で経験を重ね、素材・技術・美意識のあらゆる面で実力を培ってきました。
「京道 とよおか」の料理には、明確な軸があります。それは、季節の移ろいと故郷・熊本へのまなざしです。コースには、熊本直送の馬刺しや自家製のからし蓮根、からすみなどがさりげなく取り入れられ、修業先で得た技と郷土への想いが、丁寧に重ねられています。料理に合わせる出汁や醤油も、自らの感覚と記憶を頼りに調整されており、そこには一貫した姿勢が感じられます。
器や酒器に対する感覚もまた、豊岡さんの料理を特徴づける要素です。使うものはすべて、作り手と直接話をしてから仕入れているとのこと。作り手と使い手の信頼関係が、料理と器の調和を生み、お客様への体験の質に直結すると考えているからです。自身を“橋渡し役”と捉え、器と料理、作り手と食べ手、空間と記憶を静かにつないでいこうとしています。
店名の「京道(きょうみち)とよおか」は、自らの名前「京介」と、開業の地「四間道(しけみち)」の“道”を組み合わせて名付けられました。「自分の道を、自分の歩幅で進んでいきたい」という意志が込められています。
設計にあたっては、そうした料理人としての姿勢や背景に寄り添い、空間として応えることを目指しました。料理に熊本の素材が取り入れられていることから、素材選定にも九州との関係性を意識しています。有明海にちなんだ〈ARIAKE〉の椅子、天草地方の「天草陶石」など、空間を構成する一部の要素には、豊岡さんのルーツを引き出すような意図を込めました。素材の選定が単なる装飾ではなく、料理人の出自を空間に立ち上がらせる手がかりになればと考えています。
一方で、高野山に由来する「高野槙」は、空間全体に精神的な落ち着きをもたらす存在として取り入れました。かつて寺院建築にも使われてきたこの木材の凛とした質感は、料理と空間に宿る“芯の静けさ”をそっと支える役割を果たしています。
また、岐阜・多治見の〈TAJIMI CUSTOM TILES〉による特注の焼き台や、エントランスに用いた杉板のなぐり加工、大津磨きによる左官仕上げなど、空間に触れるたびに微細な手仕事の感触が残るよう設えています。障子には透かし太鼓貼りを採用し、光と影の層がやわらかく変化していくことで、店内に時間の奥行きを与えています。
さらに、ガラス作家・相羽美奈子さんによる作品「水泡の円窓」を空間に配置し、料理が立ち上らせる香りや記憶と重なるような、静かな物語を空間に添えました。
料理だけでなく、訪れた方が非日常の余韻をそのまま持ち帰れるようにという店主の想いに呼応しながら、現代の街と静かに接続されるような空間構成を目指しました。「京道 とよおか」は、料理人の足跡と、土地の気配、そして食の時間を包み込む静かな器として設計されています。
料理人を志したのは小学生の頃で、「30歳までに自分の店を持つ」と決意したのは中学生のときだったといいます。その言葉通り、豊岡さんは高校の調理科で調理師免許を取得後、「赤坂浅田」「名古屋浅田」にて加賀料理の基礎を学び、鰻の名店「桂喜」や、ミシュラン一つ星の「味感ことほぎ」で経験を重ね、素材・技術・美意識のあらゆる面で実力を培ってきました。
「京道 とよおか」の料理には、明確な軸があります。それは、季節の移ろいと故郷・熊本へのまなざしです。コースには、熊本直送の馬刺しや自家製のからし蓮根、からすみなどがさりげなく取り入れられ、修業先で得た技と郷土への想いが、丁寧に重ねられています。料理に合わせる出汁や醤油も、自らの感覚と記憶を頼りに調整されており、そこには一貫した姿勢が感じられます。
器や酒器に対する感覚もまた、豊岡さんの料理を特徴づける要素です。使うものはすべて、作り手と直接話をしてから仕入れているとのこと。作り手と使い手の信頼関係が、料理と器の調和を生み、お客様への体験の質に直結すると考えているからです。自身を“橋渡し役”と捉え、器と料理、作り手と食べ手、空間と記憶を静かにつないでいこうとしています。
店名の「京道(きょうみち)とよおか」は、自らの名前「京介」と、開業の地「四間道(しけみち)」の“道”を組み合わせて名付けられました。「自分の道を、自分の歩幅で進んでいきたい」という意志が込められています。
設計にあたっては、そうした料理人としての姿勢や背景に寄り添い、空間として応えることを目指しました。料理に熊本の素材が取り入れられていることから、素材選定にも九州との関係性を意識しています。有明海にちなんだ〈ARIAKE〉の椅子、天草地方の「天草陶石」など、空間を構成する一部の要素には、豊岡さんのルーツを引き出すような意図を込めました。素材の選定が単なる装飾ではなく、料理人の出自を空間に立ち上がらせる手がかりになればと考えています。
一方で、高野山に由来する「高野槙」は、空間全体に精神的な落ち着きをもたらす存在として取り入れました。かつて寺院建築にも使われてきたこの木材の凛とした質感は、料理と空間に宿る“芯の静けさ”をそっと支える役割を果たしています。
また、岐阜・多治見の〈TAJIMI CUSTOM TILES〉による特注の焼き台や、エントランスに用いた杉板のなぐり加工、大津磨きによる左官仕上げなど、空間に触れるたびに微細な手仕事の感触が残るよう設えています。障子には透かし太鼓貼りを採用し、光と影の層がやわらかく変化していくことで、店内に時間の奥行きを与えています。
さらに、ガラス作家・相羽美奈子さんによる作品「水泡の円窓」を空間に配置し、料理が立ち上らせる香りや記憶と重なるような、静かな物語を空間に添えました。
料理だけでなく、訪れた方が非日常の余韻をそのまま持ち帰れるようにという店主の想いに呼応しながら、現代の街と静かに接続されるような空間構成を目指しました。「京道 とよおか」は、料理人の足跡と、土地の気配、そして食の時間を包み込む静かな器として設計されています。
この事例を手掛けた会社の概要
社名 | |||
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所在地 | 東京都港区北青山1-3-3三橋ビル 3階 | ||
外部リンク | |||
代表者 | 日野達真 | 担当者 | 日野達真 |
業種・業態 | 店舗・オフィス・住宅デザイン設計 / グラフフィックデザイン / ブランディング / コンサル | ||
坪単価 | |||
建築設計 | 可能 | スタッフ数 | 3名 |
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