暖房と換気のバランスはどうする?【効率のよい換気扇選びの基本】
2023-12-07

コロナ禍の3密(密閉・密集・密接)対策で大きな換気扇を設置した飲食店も多いのではないでしょうか。しかし、冬場は必要以上に換気を行うと、せっかく暖房で暖めた空気が外に逃げ、空調効率が悪化してしまいます。
電気代が高騰し続ける中、光熱費を節約するために改めて見直したいのが今回のテーマでもある「暖房と換気のバランス」です。飲食店における換気の重要性や暖房と換気のバランスをとる方法、店舗に適した換気扇選びの基本まで説明しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
飲食店のおける換気の重要性
飲食店において換気が重要な理由は、主に次の3つです。
- 細菌やウイルスなど、有害な物質を室内から取り除くため
- 湿気を抑えるため
- 二酸化炭素の濃度を下げるため
ランチタイムやディナータイムなど、ピーク時の飲食店はお客様でいっぱい。人の密度が高く閉め切られた空間は、ウイルスをはじめとする有害な物質が人から人へ感染しやすく、そのままにしておくと危険です。換気により有害物質を室内から取り除くことができます。
また、飲食店では調理器具の使用により冬場でも常に湿度が高い状態です。湿気をそのままにしておくと結露やカビが増えやすく不衛生です。特にカビは食中毒にも繋がる上、1度発生すると掃除にも手間取るため、何としても発生を防ぐ必要があります。換気に力を入れることで、室内の湿気を抑えることができます。
関連記事: 湿気が高くなると店内が臭いやすくなる!?【飲食店の臭い&カビ対策】加えて人の多い冬の室内では、二酸化炭素の濃度が上がり酸素不足の状態に陥ることが懸念されます。空気中の二酸化炭素が濃くなりすぎると頭痛や吐き気などの体調不良に繋がります。空気を入れ替え、室内に酸素を取り入れる上でも換気は欠かせません。
飲食店での換気の重要性は建築基準法によって換気設備の設置を義務付けられていることからも明らかです。飲食店がしっかり換気を行える環境を整えるのは、非常に大切なことだといえるでしょう。
自然換気方式と機械換気方式
換気の方法は、次の2つです。
- 自然換気方式
- 機械換気方式
自然換気方式とは、窓やドアを開けることで空気を入れ替え、換気する方法です。お金がかからず最も手軽に行える換気方法ですが、「においが外に漏れやすい」「道路に近い店舗の場合排気ガスが室内に入る」「虫が入る」「雨の日は窓が開けにくい」などデメリットも多くあります。
機械換気方式とは、換気扇などの設備を使って換気する方法です。機械方式には、給気・排気共に機械で行う「第一種」、給気のみ機械を使用する「第二種」、排気のみ機械を使用する「第三種」の3つの種類があります。飲食店においては、キッチンやトイレで「第三種」、フロアでは「第一種」を使用するスタイルがよく見られます。給気・排気の両方を機械でコントロールできる「第一種」は導入コストが大きくなりがちなものの、快適な室温とクリーンな空気を保ちやすいという大きなメリットがあります。
暖房と換気のバランスをとるために大切なこと

暖房と換気のバランスをとるために大切なのは以下の3つです。
- 天候状態や気温によって自然換気方式での換気頻度を決めておく
- 換気設備以外に空調設備も活用する
- 店舗にあった換気設備を選ぶ
においの強い料理を提供している場合など、機械換気方式での換気だけでは不十分なケースもあります。そのため、効率的に自然換気方式を活用することが大切です。「なんとなく空気がこもってきたから換気する」のではなく、天候状態や気温、湿度などに応じて「暖房効率を下げない換気頻度」はどれくらいなのか事前に試し、システマティックに自然換気できる状態にしておきましょう。
また、換気設備に加えて空気清浄機やエアコンの空気清浄機能を活用することも重要です。小回りの利くサーキュレーターも空気の流れを整えるのに一役買ってくれます。空調設備を上手く使うことで、暖房と換気のバランスを取りやすくなります。
そして、店舗に適した換気設備を選ぶことも大切です。換気設備には標準的なタイプの他にも、天井埋め込み型やレンジフード型、パイプ型などさまざまな種類があります。適切な場所に適切なタイプの換気設備を配置することで効率のよい換気が可能になります。
店舗に適した換気扇選びのポイント
店舗に適した換気扇を選ぶためのポイントは以下の2つです。
- 店舗の広さや人の密度を考慮する
- メンテナンスのしやすさを考慮する
換気扇を選ぶ際に最も大切なのは、店舗の広さやピーク時のお客様の密度を考慮することです。広々とした店舗なのに換気扇が小さすぎたり数が少なすぎたりすると、十分な効果が得られません。逆に小さな店舗なのに換気設備のパワーが大きすぎると空気の入れ替わりが進み過ぎ、暖房の効きが悪くなります。
また、フィルターや給・排気口が汚れたままになっていると空気の汚染に繋がるため、メンテナンスのしやすい換気扇であることも大切です。常に機械を清潔に保っておけるようにしましょう。
どのような換気扇が店舗に適しているのかは、店舗デザインや機械の知識が豊富にないと見極めが難しいのが現状です。自信がない場合は、ぜひ専門業者にご相談ください。建物の状態や業態に合わせて必要なアドバイスを受けられます。
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