飲食店の災害対策【地震・火事・水害に備えるためのレイアウトのポイントとは?】
2024年10月10日
美しい四季のある日本は、年間を通して自然災害の多い国でもあります。「南海トラフ地震臨時情報」の発表などが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか? この国では夏のゲリラ豪雨や台風、冬の乾燥による火災など、年間を通して災害リスクに備えなければなりません。
そこで今回は「災害リスクに備えた飲食店の店舗デザイン」をテーマとして取り上げます。備えの基本から二次災害を防ぐためのレイアウトのコツ、災害別の注意点などについて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
備えの基本!避難経路の確保と大型家具の固定
まず、災害対策の基本について確認しましょう。地震や火事、大雨による浸水など、災害の種類はさまざまですが、次の2点に関してはいつでも気を配る必要があります。
- 避難経路の確保
- 大型家具の固定
災害が起こった際、速やかに安全な場所へ移動することが最も大切です。お客様や従業員が移動しやすい避難経路を日頃から必ず確保しておきましょう。避難経路となる廊下の幅は「建築基準法施行令第119条」で120cm以上(部屋に挟まれている場合は160cm)と定められています。120cmといえば大人2人がぎりぎりすれ違える程度の狭い幅。物などを置いて道幅を狭めてしまわないよう注意が必要です。
また、大型家具をはじめとする設備は壁や天井、床などにしっかり固定しておきましょう。地震の際、家具の落下によりケガをする可能性があるだけでなく、ずれたり落ちたりした什器などが避難経路を塞ぐ可能性があります。また、避難中にぶつかり転倒につながるリスクも忘れることができません。建物ごとに適切な家具の固定方法が異なるため、必ず専門家に相談し、しっかり備えましょう。
災害を想定した店内レイアウトのコツ
次に、災害を想定した店内レイアウトのコツについて考えていきましょう。災害が起こった際、もちろんその災害自体にしっかり気を配る必要がありますが、連鎖して発生する可能性が高い二次災害をいかに防ぐかも大切です。二次災害に配慮した店内レイアウトのコツは以下の通りです。
- 窓の側に棚を設置しない
- ガラス付きの家具はなるべく隅に設置する
- 落下防止機能付きの食器棚を活用する
まず大切なのが、窓の側に棚などの大型家具を設置しないこと。地震などが起こった際、固定してあっても倒れて窓ガラスを割る可能性があります。飛び散ったガラス片が危ないだけでなく、大型家具が外に飛び出して人やものにぶつかる危険性も高いため、窓の近くに家具を設置する際は気を付けましょう。
また、食器棚をはじめとするガラス付きの家具はなるべく部屋の隅に設置しましょう。災害時にガラスが割れ、避難経路を塞ぐ可能性を少しでも減らすためです。
食器棚には落下防止付きのものがあります。陶器やガラスの食器が落下して割れてしまわないためにも、そのような機能のついたものを積極的に活用しましょう。
地震、火災、大雨……災害別の注意点
続いて、地震や火災、大雨など、災害別の対応策について考えていきましょう。地震の場合、火器・電気系統からの出火による火事のリスクが大変高いと言われています。そのため、ガスの元栓がすぐ消せるよう、日頃から物の配置に気を配っておく必要があります。また、揺れを感知することでブレーカーを自動で落としてくれる「感震ブレーカー」を用いれば、ブレーカーが不便な位置にある店舗でも電気系統に関する出火を防ぐことが可能です。
火災が発生した際、必要となるのが消火器です。消火器の設置場所や使い方を従業員皆で共有し、スタッフ全員が消火器を扱えるようにしておきましょう。また、火災の場合は発生場所により避難経路が変わる可能性が多々あります。想定される火災発生場所をいくつか挙げ、避難経路の見直しを行ってください。
大雨の場合、風や雨により、店外に置いた看板や鉢植え、ゴミ箱、メニューボードなどが飛ばされたり流されたりする危険への対処が必要です。窓ガラスや外壁、通行人、車などにぶつかることが考えられるので、できる限り早めに室内に避難させたり、ロープや針金でしっかり固定させたりしましょう。大雨の際、収納が必要なものを日頃から確認しておくといざというとき焦りません。
内装制限などの法律にも注意!年に1度は設備の見直しを
最後に、店舗の災害リスクに備える際、確認すべきことを見ていきましょう。店舗の入っている建物の規模や種別にもよりますが、「建築法」や「消防基準法」によって「内装制限」が定められています。「内装制限」とは、災害のリスクをなるべく小さく抑えるため、使う設備に一定の条件を設けるものです。細かい決まりがあるため、知識に不安のある場合は店舗デザインを行う際、必ず専門の業者に相談しましょう。
また、年に1度は災害を想定した避難訓練をスタッフと共に行いましょう。一定の規模を超える店舗の場合は「防火管理者」を立てる必要があり、責任者主導による避難訓練の実施も義務付けられていますが、該当しない店舗でもぜひ行うことをおすすめします。また、避難訓練と合わせて設備の見直しも行うといざというとき安心です。
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