飲食店のワンオペ営業のメリット・デメリット【一人で効率的に動けるレイアウトも解説!】
2020-06-18

飲食店は一人でも経営可能であることから、オーナー自らが一人で切り盛りする「ワンオペレーション経営」も珍しくありません。しかし、予約の受付から席へのご案内、オーダー取り、料理の提供、食器の引き下げ、レジでの会計対応などの作業を一手に担うのは想像以上に大変なもの。一つの作業に手間取ると、お客様を待たせてしまう恐れもあります。
そこで今回は「ワンオペ営業の極意」をテーマとして取り上げます。ワンオペ営業のメリット・デメリットの確認から、一人で切り盛りする際に意識すべきメニューづくりのポイント、一人で効率的に動ける店舗のデザインやレイアウトまで解説します。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
ワンオペ営業のメリットとデメリット
まず、ワンオペレーション営業のメリットとデメリットについて確認しましょう。
■ワンオペ営業のメリット
ワンオペレーション営業には、下記のよう下記のような利点があります。
- 人件費を限界まで抑えられる
- スタッフを確保する手間やシフトを考える時間を省ける
- スモールスタートが可能なため、リスクが少ない 自由度が高く、フレキシブルな対応がとれる
ワンオペレーション営業の1番大きなメリットは、人件費を限界まで節約できる点です。小規模の飲食店において人件費は大きなコスト。1人で店を切り盛りすれば「雨でお客様が少ないのに、スタッフが店内に複数人いて時給が発生している」という事態にはなりません。飲食店経営において人件費の目安は売上の30%程度が目安だと考えられていますが、ワンオペレーション営業を採用すれば人件費をギリギリまで削ることが可能だと言えるでしょう。
また、ワンオペレーション営業なら優秀なスタッフを探して採用する手間もかかりません。コロナ禍以降、飲食店の人手不足問題は深刻です。スタッフの確保について頭を悩ませなくて良いのは大きなメリットだと考えて良いでしょう。もちろんスタッフのスケジュールを聞き、シフト調整する必要もありません。
1人で店舗を運営するため、必然的に小さな規模で始めることになるのも良い点です。初期の工事費用や設備費、月々の家賃などが安く済むため、もし経営が苦しくなってもリスクを最小限に抑えることができます。
そしてオーナー1人にすべての決定権があるため、他のスタッフと意見や価値観の違いで揉めることがないことも特徴です。メニューや営業日などを変えたいと思った時、自分の裁量でフレキシブルに調整できます。
■ワンオペ営業のデメリット
このようにたくさんのメリットがあるワンオペレーション営業ですが、残念ながらいくつか欠点もあります。
- 体調を崩しても休みにくい
- トラブルが発生した時にサービスの質を維持することが難しい
- 防犯上の危険が高い
- 日々の業務でいっぱいいっぱいになりやすい
ワンオペレーション営業の最も大きなデメリットは、体調を崩しても休みにくいことです。自分が休んだらお店を開けられなくなるため無理を押して出勤するオーナーが多いようです。同じように、冠婚葬祭など急用が入っても休みをとるのが難しいと言えるでしょう。
また、営業中に機材トラブルやお客様同士の喧嘩など、予期せぬトラブルが発生した場合も大変です。すべての物事にオーナーが一人で対応しなくてはならないため、トラブルに対処している間は、どうしても他のお客様へのサービスの質が低下します。
ワンオペレーション営業の場合、強盗などが入ってきた際も一人で対応することになるでしょう。そのため、複数人スタッフのいる店舗に比べどうしても防犯上の危険が高くなります。「店員が一人の店は悪い人に狙われやすい」という傾向もあるようです。混雑時の盗難や、会計をごまかすお客様にも気をつけなくてはなりません。
そして、ワンオペレーションだと日々の営業でいっぱいいっぱいになり、他のことを考える余裕がなくなりがちな点も問題です。新しいメニューの開発や流行の調査など、未来に向けた時間やお金の投資をする余裕がなくなり、結果として売り上げアップの機会を損失してしまうこともあります。
一人で切り盛りしやすいメニューづくりのポイント

少しでも負担を軽減するため、ワンオペレーション営業を考えている場合は、メニューづくりの際に以下のポイントを押さえるようにしましょう。
- メニューの数は最小限に抑える
- 一度にまとめて何食分も作れるメニューを取り入れる
- 提供に手間と時間のかかるメニューは避ける
最も大切なのは、メニューの種類を増やし過ぎないことです。たくさんのメニューを準備するためにはそれだけ食材も用意しなくてはなりませんし、料理のオペレーションも複雑になります。「これがうちの目玉商品です」というメニューを作り、それをしっかり売り込むようにしましょう。
また、一度にまとめて何食分も作れるメニューを取り入れることもおすすめです。混雑しがちなランチタイム・ディナータイムにも、お客様をお待たせせずに料理を提供できます。たとえば、カレーなどがこの「まとめて作れる」メニューに該当します。
そして、提供に時間のかかり過ぎるメニューを避けることも重要です。手間暇のかかった料理は魅力的ですが、お客様を長時間お待たせしては元も子もありません。手早く出せるものを中心に揃えましょう。
ワンオペ飲食店におすすめのレイアウトとは?

飲食店のワンオペレーション営業において重要なのが、店内のデザインやレイアウトを工夫すること。当サイト内「デザイナーの流儀」に寄せられた内装のプロの意見を参考にしながら、ワンオペレーションでも効率良く営業できるデザイン・レイアウトの極意をご紹介します。
■基本のレイアウトはカウンタースタイルがおすすめ
内装のプロであるデザイナーの方々から寄せられたアイデアで最も多かったものが、調理しながらお客様とコミュニケーションが取れる「カウンタースタイル」にすること。接客と調理を同時にできることが大きなメリットです。
■セルフサービスや券売機を導入できるスペースを確保
ドリンクバーなどのセルフサービスや券売機など、お客様自らに動いてもらうスペースをつくることで、サービスの一部を簡略化できます。
そのほか、厨房内に営業前に仕込んだものをストックできる場所や、洗う前の食器を置けるスペースをつくるのもおすすめ。飲食店が優先すべきは、お客様をお待たせしないこと。食洗器があったとしても、オーダーが混み合ってしまった場合、洗い物まで手が回らないのが現状です。あらかじめ仕込んだものや食器を置ける「ゆとり」があれば、心にも余裕が生まれるのではないでしょうか。
■ワンオペ経営でもスムーズ、理想的な動線をつくろう
ワンオペレーション営業の場合はすべて一人での作業となるため、オペレーションが分断されないように、自分の動線とお客様の動線を明確に分けることがポイントです。
また、ホールのメイン通路幅は120cmが理想と言われているものの、小規模な店舗で通路幅の確保が難しい場合もあるでしょう。しかし、客動線をしっかりデザインしなければ、お客様同士がぶつかってしまいトラブルの原因にもなってしまいます。設計のプロの手を借りつつ、どうすれば確保できるのかを考えていきましょう。
<参考> 「ワンオペレーションでの飲食店の出店を予定しています。どのようなポイントに注意して設計を考えれば良いでしょうか?」
ワンオペでもスムーズに営業するためのポイントは?
基本的なレイアウト以外にも、工夫できることはたくさんあります。たとえば、ドリンクの一部を缶やペットボトルでの提供にしたり、料理はお盆に乗せて提供し、片付けやすくしたりするなどの工夫をすると、より効率的に営業できるでしょう。
また、先ほどご紹介したようにメニューを増やしすぎないこと以外にも、事前にしっかりと仕込みをすること、座席数を増やしすぎないこと、さらに定休日をしっかり作って体調管理をすることも大事です。休むときはしっかり休んで、営業に備えましょう。
ワンオペレーション営業に向いた店舗デザインを考える際は、内装デザインのプロの意見を取り入れるのもおすすめです。小規模店の内装に関わったことのある専門業者に相談し、お店のレイアウトやデザインをしっかりと設計してみましょう。
あわせて読みたい: 過ごしやすい客席や厨房を作る! 飲食店が知っておきたい店舗レイアウトの基本
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