飲食店の開業資金の最適化!店舗デザインで失敗しない資金配分術
2025-10-15

飲食店の開業にあたり、資金管理をしっかり行うことは非常に重要です。しかし、「開業資金はどれくらい準備すべきか」「設備投資にはどれくらい費用がかかるのか」と悩む飲食店オーナーは少なくありません。
そこで、今回は「飲食店開業の資金配分」をテーマとして取り上げます。飲食店の開業に必要な資金の目安と内訳、店舗デザインにおける資金の優先順位、そして資金配分を成功させるポイントまで解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
飲食店の開業資金はどれくらい?目安と内訳
はじめに、飲食店の開業資金はどれくらいかかるのかについて確認しましょう。
飲食店の開業資金は、1,000万円程度が平均値だと言われています。
設備投資の少ない業態かつ小規模な店舗の場合は500万円程度でオープン可能ですが、大掛かりな設備を導入しなければならない業態であったり、大規模な店舗を考えていたりする場合は2,000万円以上かかる場合もあります。費用の大まかな内訳は以下の通りです。
- 物件取得費
- 工事費(外装・内装)
- 設備・備品費
- 運転資金
- その他
物件取得費
賃貸物件を借りる場合に必要な敷金や礼金、前払い家賃などです。物件によりかかる費用はまちまちですが、家賃10ヶ月分程度は見込んでおいた方が良いでしょう。
工事費
外装工事と内装工事にかかる費用です。前の店舗を引き継ぐことのできる居抜き物件なら50万円~200万円程度で済みますが、すべてを1から作り上げるスケルトン物件の場合は倍以上のお金がかかります。費用を抑えたい場合は、可能な限り居抜き物件にするのがおすすめです。
設備・備品費
キッチンの設備や什器などにかかる費用です。焼肉店の空調など、高額な設備を導入しなければならない業態の場合はここにお金がかかりますので注意しましょう。
運転資金
お店がなかなか軌道に乗らなくても焦らずに済むよう、運転資金は3ヶ月~6ヶ月分程度準備しておくと安心です。
その他
広告宣伝費やフランチャイズの加盟金なども必要に応じて用意しなければなりません。
店舗デザインで資金を優先的に配分すべき部分は?
前項の開業資金内訳の中でも、今回は工事費、特に店舗デザインに関する部分について見ていきましょう。
店舗デザインで資金を最も優先的に配分すべきなのは、以下の2つです。
- お客さまの居心地に直結する部分
- お客さまの目に触れやすい部分
お客さまの居心地に直結する部分
例えば、お店の明るさや椅子の座り心地、隣の席との間の仕切り、席のレイアウトなどはお客さまの居心地に直結する部分です。いくら料理が美味しくても、滞在するのが苦痛なお店にお客さまは再来店してくれません。多少費用はかかっても、しっかり吟味して作り上げるべき部分でしょう。
お客さまの目に触れやすい部分
お店の外観や入店してすぐ目に入る部分も重要。もちろん、「ほとんど見た目にこだわっていない名店」も存在しますが、それはごく一部の話です。まずお客さまに「入りたい」と思っていただかなくては始まりませんし、入店すぐ「良さそうなお店だ」と感じてもらえた方がその後の注文もスムーズ。お客さまの目に触れる部分は多めに資金を割り振りましょう。
店舗デザインの資金配分でよくある失敗

店舗デザインはこだわり始めると際限なく費用がかかるため、資金配分で失敗しやすいポイントでもあります。よくある失敗は以下の通りです。
- オーナーの夢やこだわりを詰め込みすぎてしまう
- 客単価と装飾のバランスが合っていない
- 予備費を準備せず、想定外の出費に対応できない
オーナーの夢やこだわりを詰め込みすぎてしまう
最もよくある失敗は、オーナーが「自分の夢」を店舗デザインに詰め込みすぎてしまうというもの。お客さまの居心地などを軽視しやすく「予算をかけた割に満足度が低い」という結果に。店舗デザインを考える際は、あくまで「お客さま中心」に考えることが大切です。
客単価と装飾のバランスが合っていない
リーズナブルなカフェにも関わらず床に高級タイルを使用したり豪華なシャンデリアを飾ったりして失敗するケースも。かけた費用を回収するのに時間がかかるため、潤沢な予算がない場合はやめておいた方が良いでしょう。客単価を考えて予算組みをすることも重要です。
予備費を準備せず、想定外の出費に対応できない
予備費をゼロにしてトラブル対応ができず大騒ぎになることも。専門業者とどんなに綿密に打ち合わせても、トラブルが発生することはあります。店舗デザインの予算の10~15%程度は予備費として確保しておきましょう。
店舗デザインで資金配分を成功させるための3つのポイント
最後に、店舗デザインで資金配分を成功させるためのコツを見ていきましょう。資金配分に失敗しないためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- 事業計画書を作り込む
- 見積もりを複数のデザイン会社からとる
- 専門家の意見を聞く
事業計画書とは、店舗のコンセプトやマーケティング戦略、開業後の収支予想などについてまとめた書類のことです。主に融資を受ける際に必要となるもので、作成する法的な義務はありません。
しかし、事業計画書を作ることで、どんなお店にしたいのか、どんなお客さまに来てもらいたいのか、どの程度利益が上がる予定なのか…などを客観的に整理することができます。お店のコンセプトやターゲット層が明確になることは、店舗デザインの方向性を固める上でも非常に重要です。ぜひ事業計画書はしっかり作り込みましょう。
また、見積もりを複数のデザイン会社からとること(相見積もりをとること)も大切です。はじめから1社に絞らず、複数のデザイン会社から見積もりを取り、コストと提案内容を比較検討しましょう。
そして、専門家の意見を取り入れることも重要です。事前に店舗デザインについて経験豊富な専門業者に相談することで予算配分のミスを防げます。
飲食店開業における資金配分でよくある質問
飲食店開業における資金配分でよくある質問についてまとめました。
Q:開業時に運転資金や生活資金を確保しておかなければいけないのはなぜですか?
A:お店の知名度などの問題で、開業直後は思うように利益が出ないケースが考えられるからです。店舗が軌道に乗るまでには、一般的に3ヶ月~半年程度かかると考えられています。しばらく利益が出なくても腰を据えて営業が続けられるよう、お店の運転資金や生活資金をきちんと確保しておきましょう。
Q:店舗デザインを依頼する際、業者にはどんなことを質問すべきですか?
A:「店舗のコンセプトに適したデザインはどんなものが考えられるか」「予算内で高級感を出すためにはどんな素材がおすすめか」「メンテナンスコストを抑えられる内装を提案してもらえるか」などについては必ず質問しましょう。特に耐久性やメンテナンスコストについては店舗の長期的な運営に関わってくる問題なので可能な限り尋ねることをおすすめします。
店舗デザインにおける最適な資金配分は、お店の成功と長期的な運営の安定に繋がります。資金計画やデザインについて不安がある場合は、ぜひ専門の業者にご相談ください。外装・内装のプロとしてきっと良いアドバイスをしてくれるはずです。
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